「薬品供給不足、薬局の対応は?現場のリアルと今後の課題」

こんにちは。「キッサ薬局」の店主です。

近年、ニュースでも話題になっている「医薬品(特にジェネリック)不足」
薬局の窓口でも「いつもの薬がない」「なんで変わったの?」という声が増えています。

では、実際に薬局ではどんな対応をしているのか?
なぜそんな状況いなているの?
現場のリアルな状況と、今後の課題についてお話します。

■ 【医薬品不足、なぜ起きている?】

ここ数年、ジェネリック医薬品の供給不安定が続いています。
原因は複合的ですが、主に:

・一部メーカーの不祥事(製造管理・品質管理上の問題)

・GMP違反による製造停止・出荷停止

・コロナ禍による原料供給遅延

・国内製造工場の生産能力不足

・薬価下落と原材料高騰による生産の中止

などが背景にあります。
※下部の補足に厚生労働省の通達の載せておきます。

これにより、全国的に品薄・出荷調整・長期欠品が相次ぎ、
薬局現場では「入荷しない」「いつ入るかわからない」状況が日常になっています。

最近やっと世間の皆さんが薬不足を認識してくれてますが、ずいぶん前から薬局や病院では薬不足と戦っています(笑)


■ 【薬局ではどんな対応をしている?】

薬局では、患者さんに薬を切らさないように、
以下のような対応をしています:

✅ 先発医薬品への変更調剤
 → 同成分の先発品に切り替える(患者負担額UPの説明が必要)

✅ 他の後発医薬品(別メーカー)への変更
 → 薬局在庫や入荷状況に応じて、別メーカー品に切り替え

✅ 処方医への疑義照会(薬の変更依頼)
 → 同効薬や類似薬への変更可否を医師に確認

✅ 患者への事前説明・服薬指導
 → 「いつもと見た目が違う理由」「金額が変わる理由」を丁寧に説明

→ 薬剤師の説明・調整・確認業務が増大しているのが現状です。

患者さんの待ち時間を、1秒でも減らしたい僕としては煩雑な作業が増えてとても複雑な気持ちです。


■ 【患者さんからよくある質問・反応】

実際の現場では、こんな声をよく聞きます:

「薬が変わるの不安なんですけど」
「また値段上がるの?困るわ」
「別の薬で本当に効くの?」
「なんでそっちの都合で金額が上がるの?」

→ こうした不安や疑問に答えるのも、薬剤師の大切な役割です。

本当に薬局側も四苦八苦していることをご理解いただけると幸いです。
現場の人間のせいで薬不足が起こっている訳ではないのですが、

「お前らの仕事だろ!何とかしろ!」
「私の病気分かってますか?病気が悪くなったら彼方のせいですよ?」
「全国の薬局から探してこい !」

等々、色々お叱り?受けることも多かったです(泣)


【今後の課題と私たちにできること】

後発医薬品不足は、すぐに解決する問題ではありません。
業界全体で「安定供給」「信頼性向上」が求められています。

一方、薬局としても:

代替薬の在庫管理・情報共有

処方医との連携強化

患者への正確でわかりやすい情報提供

を引き続き行う必要があります。

「薬がない」では済まされない現場だからこそ、
薬剤師としてできる工夫と努力を、これからも積み重ねたい。

そんな思いで、日々の業務に向き合っています。


【まとめ】

後発医薬品の不足は、患者さんだけでなく医療現場全体に影響する問題です。
薬局では一人ひとりの患者さんが安心して服薬できるよう、
限られた資源の中で最善を尽くしています。

「いつもの薬が違う」と思ったら、ぜひ薬剤師に相談してください。
私たちはその疑問に寄り添い、一緒に解決策を探していきます。


【参考資料】

厚生労働省 医薬品供給状況に関する通知

日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会発表資料

医薬品卸各社 情報提供


【補足】

 厚生労働省の対応と通達(2020年以降)

  1. 医薬品供給状況の定期的な公表

厚生労働省は、医薬品の供給状況を定期的に公表しています。 例えば、2025年2月18日時点の発表では、通常出荷されていない医薬品の割合が約21.9%に達し、そのうち後発医薬品が約60%を占めていると報告されています。

  1. 品質問題への対応強化

2020年以降、後発医薬品メーカーの品質問題が顕在化し、厚生労働省は製薬企業に対して自主点検や立ち入り検査を実施しています。 2023年の自主点検では、製造方法の改変や規格の齟齬などが多数報告され、品質管理体制の強化が求められています。

  1. 原材料の海外依存リスクへの対策

医薬品の原材料供給が特定の国に依存していることが供給不安定の一因となっています。 厚生労働省は、供給が単一国に依存している原薬について、供給元の多様化や代替供給源の探索を支援する補助事業を推進しています。

  1. 国内生産基盤の強化

医薬品の安定供給確保には、国内の製造基盤を維持・強化することが不可欠であり、GMP(Good Manufacturing Practice)基準適合の設備導入や、政府支援による生産拠点整備が求められています。 一方で、後発医薬品メーカーによっては工場の老朽化が進んでおり、懸念材料となっています。

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