その薬、海外に持ち出して大丈夫??

こんにちわ。
キッサ薬局の店主です。
自分の持ち物なんだから、薬の携帯は当たり前に問題ないだろ?
普通はそう思ってしまいますよね。
しかし、たかが医薬品、されど医薬品!
例のごとくわかりにくいルールがあるんですねー
最近でも韓国にイヴを持ち込めない!とか何とかがニュースになってましたね。
そこで、今回はこのテーマについて考えてみます。

実は以前、患者さんからこんな相談を受けたことがあります。

「今度シンガポールに行くんだけど、ゾルピデムを飲んでるから、何か申請がいるんだよね?どうしたらいい?」

そのときの私は、恥ずかしながら十分な知識がなく、
「不勉強ですいません、薬局では特にできる事はないと思います」としか言えませんでした。

「もっと具体的なアドバイスができたらよかったのに」
そんな思いが心に残り、
今回このテーマについて改めて調べ、学び直すことにしました。


【では、どうするべきだったのか?】

海外渡航時に医薬品を持ち込むには、
“日本の法律”ではなく“渡航先の国の法令”に従う必要があります。

ゾルピデムのような向精神薬系の薬は、
国によっては麻薬類や規制薬物として扱われるケースがあり、
シンガポールもその一つです。

こうした国では:

✅ 入国前に持ち込み申請(許可申請)が必要
✅ 英文の処方箋や診断書(doctor’s letter)が必要
✅ 書式や必要情報は“渡航先の国”の規定に従う

というルールがあります。

そして大切なのは――
この「英文証明書」に日本国内で法的に決まった様式はないということ。

つまり:

どんな書類内容にするかは、日本の法律ではなく、“渡航先の法律・規定”に合わせる必要がある

ということです。

たとえばシンガポールの場合、
患者氏名・診断名・薬名・用量・目的・医師の署名・病院情報など、
入国管理局が求める内容が定められています。

これを踏まえれば、
当時の私は「シンガポール大使館の公式サイトを確認すること」
「必要書類にどんな情報が必要か確認すること」
「必要なら医師に英文証明書の発行を依頼すること」
をアドバイスできたはずでした。

一般の処方薬・市販薬の場合

→ 自己使用目的での持ち出しについて、
✅ 日本側の法律で「持ち出し禁止」と定められたルールはない
(※商用目的や不正取引目的ではなく「自分が飲むため」であれば)

→ → つまり、基本的には“出国時の日本の規制”は特にない
→ 問題になるのは「入国先の国の規制」


一部の医薬品(麻薬・向精神薬など)は例外

ただし以下は日本の法令でも出国時に規制対象:

✅ 麻薬及び向精神薬取締法
✅ 覚醒剤取締法
✅ 毒物及び劇物取締法

→ これらに該当する医薬品(例:モルヒネ、フェンタニル、メチルフェニデートなど)を持ち出す場合:

▶ 「麻薬等輸出許可」が必要(厚生労働大臣の許可)
▶ 申請書や証明書類を提出
▶ 許可を受けないと日本国内法違反

になる。


✅ 一般の医薬品(処方薬、市販薬)は、
→ 日本出国時には“法律上の持ち出し許可は不要”

✅ ただし、
→ 麻薬・向精神薬・覚醒剤原料・一部劇薬などは、出国時にも許可が必要
→ → この場合、日本側の法律(麻薬取締法など)による規制がかかる

✅ そして「持ち出せるか」「持ち込めるか」は、最終的には入国先の国のルールに従う


今回の経験から私は、
「海外渡航に薬を持っていく」という行為の裏側には、
“国ごとに異なる医薬品のルール”という大きな壁があることを実感しました。

薬局の窓口でも、こうした情報を意識して伝えられる薬剤師でいたい。
そんな気持ちで、このテーマを記事にしました。

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