こんにちは、キッサ薬局店主です。
「おじいちゃんの介護施設、どこがいい?」
「特養?老健?グループホーム?…よくわからない!」
そんな声を患者さんや家族からよく聞きます。
実際、介護施設にはいろんな種類があって、
目的・対象・費用・サービス内容がそれぞれ違うんです。
それぞれの特徴と違いを簡単にまとめました。
【① 介護医療院】
→医学的な管理が必要な人が、終身で利用できる施設
✅ 長期療養の必要がある要介護者向け
✅ 医療ケア(胃ろう、喀痰吸引など)対応
✅ 2018年に新設(療養病床の転換先)
✅ 医療職が、特養・老健よりも手厚く配置されている
→ 「医療ケアが必要だけど病院じゃない」人のための施設
【② 介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)】
→ 「介護サービスが付いた有料老人ホーム」
✅ 介護スタッフ常駐(24時間体制)
✅ 入浴・排泄・食事などの介護サービス込み
✅ 施設が介護保険サービスを提供
✅ 自立~要介護者まで幅広い受け入れ可能
→ 「民間運営で手厚い介護を受けられる高齢者住宅」
【③ 住宅型有料老人ホーム】
→ 「介護サービスがついていない有料老人ホーム」
✅ 食事・生活支援サービスのみ
✅ 介護が必要になったら外部の訪問介護サービスを個別契約
✅ 介護保険のサービスは“自分で手配”
→ 「元気なうちは住める。介護が必要になると別契約が必要」
【④ サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)】
→ 「バリアフリー構造+生活相談などがついた賃貸住宅」
✅ 60歳以上(または要支援・要介護認定者)対象
✅ 生活相談・安否確認が義務
✅ 介護サービスは外部から導入(別契約)
→ 「見守りがついた賃貸住宅。介護が必要になれば外部サービス」
【⑤ 介護老人保健施設(老健)】
→ 「自宅復帰を目指すためのリハビリ施設」
✅ 入所期間は原則3~6か月(短期)
✅ 医師・リハビリ職・看護師・介護職がチームでサポート
✅ 介護保険施設(公的)
✅ 病院から自宅への“中間施設”のイメージ
→ 「リハビリして自宅に戻るための一時的な施設」
【⑥ 特別養護老人ホーム(特養)】
→ 「重度の要介護高齢者が長期入所できる公的施設」
✅ 要介護3以上が対象(例外あり)
✅ 終身入所が基本
✅ 料金が比較的安い(公的負担が大きい)
✅ 待機者数が多い人気施設
→ 「“終の棲家”に近い役割。費用が抑えられるが空きが少ない」
【⑦ グループホーム】
→ 「認知症の方が共同生活する小規模施設」
✅ 認知症対応型共同生活介護
✅ 定員9人以下のユニットで家庭的な雰囲気
✅ 住み慣れた地域での生活を支援(施設と同じ市区町村に住民票がある方)
✅ 要支援2以上の認知症高齢者対象
→ 「認知症の方が少人数で穏やかに暮らせる場所」
【⑧ ケアハウス】
→ 「自立~軽度介護の方向けの低価格な高齢者住宅」
✅ 公的補助ありで比較的安価(サ高住は民間)
✅ 比較的低価格で利用できる
✅ 食事提供・生活相談つき
✅ 介護が必要になったら外部サービス利用(別契約)
→ 「軽い介護・生活支援が必要な人向け住宅」
【⑨ 短期入所生活介護(ショートステイ)】
→ 「一時的に施設に泊まれるサービス」
✅ 数日~1か月程度、介護施設に短期入所
✅ 家族の介護負担軽減、旅行・病気・冠婚葬祭時の一時預かり
✅ 入浴・食事・排泄などの介護サービス付き
✅介護保険適用外のショートステイもある
✅短期入所生活介護・療養介護がある
→ 「家族の休息(レスパイト)目的でも使える、短期間の“お泊り介護”」
【⑩ 小規模多機能型居宅介護(小多機)】
→ 「通い・訪問・宿泊のサービスが一体化した地域密着型の介護サービス」
✅ 登録した利用者が1つの事業所で
→ デイサービス(通い)
→ ヘルパー(訪問)
→ ショートステイ(宿泊)
を必要に応じて組み合わせて利用
✅ 「顔なじみの職員・同じ場所」でサービス提供される安心感
✅ 定員29名以下の小規模運営
→ 「地域で、いつもの職員に、必要な時に柔軟にサービスを受けられる」
【⑪ 認知症対応型通所介護】
→ 「認知症の方に特化したデイサービス」
✅ 認知症高齢者が日中利用
✅ 送迎・入浴・食事・機能訓練・レクリエーション
✅ 専門スタッフによる認知症ケア
✅ 定員12人以下の少人数制で家庭的な雰囲気
→ 「認知症の方が日中安心して過ごせる居場所、家族の介護負担軽減も」
【3つの特徴の違いをざっくりまとめると】
サービス名 利用目的 利用場所 特徴
短期入所生活介護 短期入所 施設 一時的に施設で宿泊介護
小規模多機能型居宅介護 通い+訪問+宿泊 1つの事業所 必要に応じて柔軟に組み合わせ、同じ職員が対応
認知症対応型通所介護 日中利用 専用デイサービス事業所 認知症の方専門、少人数制
【補足】
→ この3つは「在宅生活を支える」ためのサービス
→ 「住み慣れた家・地域で暮らす」ための支援が目的
→ “住まいの場所”を変える施設(特養・老健など)とは違う立ち位置
✅ ⑨短期入所生活介護(ショートステイ)
✅ ⑩小規模多機能型居宅介護(小多機)
✅ ⑪認知症対応型通所介護
→ 「在宅サービス(居宅サービス)」に分類される介護保険サービスやけど、
→ 「施設に一時的に通う・泊まる」形態なので“施設系サービス”とも誤解されやすい位置づけ、です。
✔ 「自宅生活を前提に、自宅+外部施設を組み合わせる支援サービス」
✔ 「住み続ける家は自宅」であることが前提
というのが“施設系”との一番の違い。
「短期入所生活介護・小規模多機能型居宅介護・認知症対応型通所介護は、施設を利用するけれども、“自宅で生活を続けるため”の在宅介護サービスに分類されます。
“自宅に住みながら”施設を必要な時だけ利用する支援です。」
ここまで、
介護医療院、特別養護老人ホーム、老健、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、
サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、ケアハウス、
短期入所生活介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型通所介護――
…と、たくさんの施設やサービスをご紹介してきました。
正直、
「多すぎて結局どれがどれなんだ?」
「名前が似ていて違いがわからない!」
という方も多いと思います。
実は私自身、薬剤師として患者さんから相談を受けても、
最初はこの違いをしっかり説明するのが難しかった経験があります。
【実は「2つのグループ」に大きく分けられます】
でも、いろんな施設の名前に圧倒されても大丈夫。
実は、介護施設・サービスは
「住み替えが必要な入居型」と「自宅を拠点に利用する在宅型」
という2つの大きなグループに分けることができるんです。
■ ① 住み替え型(入居型)施設
→ 施設に“引っ越し”して暮らす場所
→ 介護医療院、特養、老健、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、ケアハウス など
■ ② 在宅支援型サービス
→ 自宅に住みながら、必要に応じて施設利用
→ 短期入所生活介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型通所介護 など
「どれに入ればいい?」と考えるとき、
まず“家を離れて暮らしたい”のか、
“自宅に住み続けたい”のか――
この2つの方向性を考えると、
施設選びがグッとわかりやすくなります。
最後に一言。
たくさんの施設名や種類に戸惑うのは当たり前。
でも「自分や家族に合った場所」を見つけるヒントとして、
この“2つの分け方”を覚えておくと、
必要なサービスが見えてくるかもしれません。
覚える際の第一歩、助けになると幸いです。
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